視線 -5-




−Side sakaeguti−





とにかくムカついて仕方が無かった。

何故?という疑問符と、自分は知ってるよ、なんてしたり顔で俺の中に踏み込んできた水谷に、もう凄く腹が立って仕方が無かった。
眠れずにベッドの中でのた打ち回りながら、水谷に宣言した通り、どうやって詫びを貰う、というか、仕返しをしてやろうかとずっと考えた。
いつもへらへらとしていて、西浦初のエラーを記録したクソレフト。
けれど、実は結構攻守バランスが良かったりする。
人の、特に阿部の地雷を踏むのが得意なんだけど、それがみんなの笑いを誘ったりしてるし、自主練でもやってるのか、普段の練習の成果か、意外とスタミナがある。

…………何を考えているんだろ、俺。

水谷の嫌なところを考えようとしていた筈なのに、いつの間にかあいつが頑張ってる事とかを考えてる。
どこまでお人好しなんだろ。
こんな自分が、何だか気に食わない。

俺は溜息を吐くと、寝返りを打ちながら冴えている目を閉じた。
眠れないにしろ、体を休めなきゃいけない。
疲れすぎているのかな、と思ってもう一度、深く息を吸い込んだ途端、何が引き金になったのか、俺は眠りの世界に落ちていたらしく、ほんの瞬き一つの間だと思っていた感覚の中で、数時間の眠りを得ていた。



凄く短い感覚しか得られなかった睡眠の所為か、翌日も気分は最悪だった。
いつも通り、朝錬に参加しながら、自分の体が思う通りに動かない感じがして、授業中も内容に集中できなかった。それを見透かされたのか、当てられてしまって、回らない頭で訊かれた問いを答えたら間違っていたりしたものだから、嫌味な担当教師に突付かれたりした。

何とかその授業も終り、昼の休憩になったところで、俺は深々と溜息を吐いた。
「さっきは災難だったな」
いたわるような声がして、椅子に座ったまま顔を上げると、巣山が弁当を片手に立っていた。
「うん……まぁでも、俺が答えられなかったのが悪いんだから、仕方ないよ」
入学してすぐから、部で一緒になった事をきっかけに、一緒に昼を食べるようになった巣山は、俺の席の近くで空いている椅子を適当に見繕うと、それを引き寄せて腰を下ろし、弁当を広げ始めた。

「でも栄口。何か最近、ホントにおかしいぞ?大丈夫なのかよ」
広げた後、声に出さずに「うまそう」を言ってんのか、一拍置いて手を合わせた巣山は、箸箱から箸を取り出しながら俺を振り返った。
何が……って、まぁ、多分、酷く疲れた顔でもしてるんだろうな。
「うん、ちょっと寝不足なんだよ。休憩時間中は落ち着かないし、熟睡する訳じゃないだろ?」
「あー確かに」
俺が今日の昼食のパンを鞄から取り出しながら言うと、巣山も大きく頷いた。
「だったらさ、部室行ってみたら?」

頷いた後、おかずの鶏のから揚げを口に放りこんだ巣山の言葉に、俺は首を傾げた。
すると巣山が悪戯を持ちかける子供のような顔で笑った。
「昼なら誰も居ないし、静かだから、少しでも昼寝できんじゃねぇの?」
俺の事を気遣ってくれる言葉を無下に出来なくて、俺は早速行ってみると答えた。



巣山の言った通り、部室棟は教室に比べれば静かで、知らない間に緊張させていたらしい肩から力が抜けた感じがした。
俺は小さく息を吐くと、携帯のアラームを一応セットして、入り口正面の奥、窓の下の壁に背中を預け、畳の上に足を投げ出して座り込んだ。
手の中にある、花井から借り受けた部室の鍵を弄びながら、それを見るとはなしに見ていると、やっぱり少しづつ気分が沈み始めた。
頭の上の窓から差し込む光は、自分自身が影を作り出しているからまぶしくはない。
俺は顔を上げると、視界の中に並ぶロッカーの林を見渡した。
まだ数がそんなに必要ないから、部室の中を埋め尽くすほどではなくて、目的のロッカーもすぐに判別できる。

鍵を持つ手の中に僅かに残っている気がする感触を、俺は呼び起こそうとした。
暖かくて、少し柔らかで固い感触。
思い出しただけで少しづつ鼓動が早くなり始めて、俺はそれを静めようと息を吐いた。

普通はこんな感覚、女の子相手に感じるものだっていうのは分かってる。
けれど、自分でも押さえが利かないこの感情に、理性はちっとも対処できなかった。
その所為か、どうしても神経が尖ってしまう。
自分で自分がわからなくなる感覚に、俺は目を閉じた。

目を閉じ、ゆっくりと呼吸を繰り返すリラックス法を繰り返してみるけど、手を握る相手がいない所為か、あまり上手く行かなかった。
けれど、体は少し休める事が出来たみたいで、アラームをセットしていた時間になり、携帯が低い音を立てて震えた頃には、多少体が軽くなっていた。
どうしても力が入っちゃう眉間を、指先でほぐしながら部室を出るために立ち上がると、俺は三橋のロッカーの扉の前で立ち止まった。

少し読み取りづらい字が書き付けられた名札が入っているそこに触れると、全身が粟立つような感覚に襲われた。
目を閉じると、いつも今自分が立っている場所に立ち、一生懸命に着替えをしている三橋の姿が浮かんできて、身の内にじりじりとした欲求が湧きあがって来る。

触れたい。

抱きしめたい。

彼を手に入れたい。

全身を冒していく病に似た感情に浸っていた俺を急かすように、休憩時間の終了を知らせる予鈴が鳴って、後ろ髪を引かれる思いで、俺はその場を離れた。




格好悪い格好悪い格好悪い格好悪い格好悪いっ!!

あーもうなんでこんな時にこんな事になんだよ!
確かに余裕無くて駆け込んだ所為で、紙の確認を怠った俺も悪いよ!けどさ、なんで今俺が入ってるトイレでそんな事態になるんだよ……
動くに動けずに、榛名さんに絡まれて(?)いる三橋のフォローに声を掛け、何とか解放されたらしい状況にほっとしつつ、三橋が投げ落としてくれた紙を受け取りながら、俺は情けなさのあまり涙が出そうだった。
「ごめんな三橋ー」
トイレを後にして会場に向かいながら言うと、三橋は何の事を言われているのか分からない、って感じの顔をして、首を傾げて見せた。
あぁ……可愛いよなぁ……

「な、何?栄口君」
「さっき、榛名さんに絡まれてた時に助けてあげらんなくて、悪かったなーと思ってさぁ……」
悪かったなと思ったし、それから悔しかった。
結局は阿部からの電話も、三橋を助ける事になったんだもんな。ったく、子供じゃないんだから、いちいち会場に入ったとか何とか、電話しなくても良いっての。

……俺への牽制込み、か?

「ご、ごめん、なさい……」
俺の思案を断ち切ったのは、三橋のか細い謝罪だった。
「へ?何が?」
三橋に謝られる覚えが無いっていうか、むしろ謝りたいのはこっちだと思いながら聞き返すと、三橋は面白い動作できょどきょどと視線を彷徨わせた。
俺が慌てなくて良いから、っていったら漸く落ち着いたみたいで、何度も詰まりながら、言葉を紡ぎ始めた。

「うあ、の、俺、どんくさい、から、紙も取って、来れなかった、し、ちゃんと、出来なかった、から……」

そう言って、申し訳なさそうに顔を伏せた三橋を見て、俺は少し胸が痛んだ。

元々気が小さいと言う事を差し引いても、なんで三橋はここまで自分を悪者にしてしまうのだろう。
「三橋は、悪くないよ」
自然に口を突いて出た言葉を、俺は止めなかった。
「うん。三橋は悪くない。っていうか、誰も悪くないよ」
三橋を元気付けるように言いながら、俺は少しばかり欲張って、三橋の肩を軽くはたいた。
攻守交代する時に声を掛けるように、よくやった、頑張った、って気持ちも込める。
とても臆病な小動物みたいな三橋が、こうして自分の言葉を紡ぐ事が苦手なのは分かってた。それを押して、俺に言葉を掛けてくれたのが凄く嬉しかった。
そして、不自然でなく三橋に触れられる機会を得られた事が、心底嬉しかった。

「三橋は三橋のやれる事を、少しづつでいいから頑張れば良いんだよ。今日もそうしてくれただろ?」
自信なさ気に口篭もる三橋に、俺はちゃんと分かって欲しくて笑い掛けた。
「俺さ、試合とかで見ててもいつも思ってるもん。三橋って凄く一所懸命頑張ってるなぁって。バックで守備に着いててもさ、投げるのがすっごく好きなんだなぁって思えるくらい、気持ち良さそうに投げてて……俺、三橋を尊敬してるよ」
会場に入るための大きな、分厚い扉を潜りながらそう言うと、三橋はびっくりした顔のまま暫く固まって、それから小さく「ありがと」と言って笑ってくれた。
いやぁ、こっちこそありがとうだよ。

トイレでの件もそうだけど、三橋に触れた所為で高鳴った俺の心臓が、少し顔を赤くしてしまっている事に気付かないでいてくれて助かったよ。



初戦の相手校が決まり、それから始まった猛練習は、俺に考える隙をあまり与えないと言う恩恵をもたらせてくれて、夜も眠れるようになった。
何とか練習についていき、春に比べると格段に体力のついた俺達は、朝から晩まで目一杯組まれた練習メニューをこなしながら、初戦の日を待っていた。
その日、巣山に教えてもらって以来、時々利用させてもらってる、昼休みの誰もいない部室に入ろうとして、誰か先客がいる事に気付いた。

いつもなら閉まっている鍵が開いていた。
俺は誰かが忘れ物でも取りに来ているのかと思って、扉を開けようとした。その途端、中から響いてきた声にノブを回す手を止めた。
「だから、何でそうなるんだ」
「あ、っう……」
「何で俺が怒ってると思ったのか、って理由を聞いてんだよ」

苛々と話す声と、どもりながら何とか答えようとする声は、確認するまでも無く、阿部と三橋の声だと分かる。
俺より先にここに来ているという事は、多分部室で昼を食べたんだろう。
俺はノブに手を掛けたままの状態で固まった。
「ったく!もう良いよ。それより、桐青のデータ、頭に入れてあっか?」
「た、ぶん、覚え、た……」
声と共に、がさがさと紙を弄る音がして、阿部が読み上げた選手の名前に答えるように、三橋が球種や角度を答え始めた。

俺は背中を焦がす太陽の暑さにか、目の前の扉の向こう側に満ちている、拒絶されるような空気にか、段々と気分が悪くなった。
バッテリー同士、こういった打ち合わせが必要なのはちゃんと分かってる。この間もそう思ったから、阿部が三橋をいじめているように感じながらも、仲裁に行こうとした巣山を止めた。
阿部とバッテリーを組む以上、俺がフォローできない事は沢山ある。
それを乗り越えないと駄目な事は、三橋自身もきっと分かっている。だから、あまり余計な手を出しちゃいけないんだ、と自分に言い聞かせているけれど、俺はこんな空気を望んではいない。

掌に滲んでいた汗で張り付いていた手を、ゆっくりとノブから離すと、俺はおぼつかない足取りで教室に戻った。



梅雨明け間近の、べったりとした湿気に満ちた空気の不快さが幾らかましになる夜、その日の練習メニューであるジャングルジム氷鬼をするメンバーを見ながら、俺は昼間の事をずっと考えていた。
今ジャングルジムに取り付いているのは三橋と西広、それに阿部の三人だ。
皆明日のオニギリの中身をかけて、必死に逃げ回ってる。鬼役は阿部で、三橋もその柔らかい体を生かして逃げてる。
意外と動きは素早いんだよね、三橋って。
一試合完投できる体力もあるし、中学時代には一日に二試合投げてた事もあるって言ってたな、確か。
たった一人、苛められて、誰も味方になってくれないチームメイトを背に、マウンドに立ち続けるのは、きっと想像以上に過酷な事だ。

順番にバッターボックスに立つ相手の好みを外し、自分が投げやすくてストライクを取る球を投げる。
ベンチ入りするメンバーは試合前にならないと分からないから、レギュラー入りしそうなメンバー全員分を覚えるのは、勉強が苦手な三橋にとっては凄く苦痛だと思う。
もちろん、それを補佐する為に捕手である阿部がいるけど、投球に関しては全て三橋の責任だ。
中学ではその捕手からも嫌われてたって言うから、阿部に過剰なまでの関心をもたれる事が、三橋にとっては嬉しい事なんだろう。
誰だって、自分の存在を無視されるのは嫌だ。

だから三橋、俺がお前を見てる事にも気付いてよ。

でも、こんな感情を抱いていることには気付かないでいてくれ。

こんな、





三橋を取り巻く人間全てに嫉妬を感じる心には、絶対に気付かないで。






俺は三橋を見ていられなくなって、ジャングルジムから視線を外した。
その瞬間、目線の先、花壇の淵に座り込んでいた水谷と目が合った。……気がした。
それを確かめる間も無く、水谷の体が崩れ、隣に座り込んでいた巣山の肩に倒れ掛かった。
「水谷?!」
巣山の上げた鋭い声が、それが冗談や悪戯ではない事を示していて、辺りにいたメンバー全員が水谷の周りに集まり始めた。

けれど、俺は一人踵を返すと、近くに持ってきておいたチョコを取りに向かった。
放課後の練習開始直後から、少し顔色が悪かったのは分かっていたから、多分貧血なんだろうと思った。
でも、本人は何にも言わないし、いつもなら篠岡が気を配ってる。
まぁ、今日はもう帰っちゃってるから仕方が無いけど、自分の体調管理ぐらい出来ないと、これからの夏を乗り切るのは難しいもんね。
それに俺、まだ水谷を許してなかったから、別に放っておいてもいいか、とか思ってた。
だけどそう考えて、俺はまた自己嫌悪に陥った。

そうだよ。
俺、水谷に仕返しをしてやろうと思って宣言しちゃってたよ……
あれからもう何日経った?
その間、俺は水谷にどうやって接してたっけ?
考えてもはっきりと思い出せないくらいの間、水谷の事を忘れていた自分に愕然としながら、俺は考えなくても動く体に自分を預けて、なんの気負いも無く、その場に横たわらされた水谷の周りの人垣の上から、水谷の様子を見下ろした。

「ちょっと良い?」
俺の声に、水谷を取り囲んでいた人垣が割れて、驚いた顔の水谷が俺を見上げた。
そんなに驚いた顔しなくても良いだろ?何も苛めてたわけじゃないんだからさ……

俺は持ってきたチョコを、水谷の手の上に落とすと、泉と他愛ないおしゃべりをしながら、張り付かせた笑顔を維持する事に神経を集中した。
だって俺、最悪じゃん。
俺の心の不調を、偶々気付いちゃった水谷にも押し付けたようなものだもんな。
しかもあんな事を言っておいて忘れてる。

ホント、嫌になる。

「おし、んじゃあ他の奴らは続きだ。次、俺と栄口と西広な!」

花井の号令で、安静にしている水谷と、その横に座り込んだままの巣山を残して、メンバーはそれぞれ散っていった。
俺はジャングルジムに取り付きながら、後で水谷に謝ろうと決めた。



その日の練習も終わって、部室ではなくベンチで揃って着替えながら、俺は水谷の様子が気になった。
いざ謝ろうと思っても、タイミングが難しい。
おまけに今、水谷は調子が悪い。
どうやって話しかければいいのかすら分からないまま、のろのろと着替えていると、知らない間に俺の隣に立っていた巣山が指で俺の肩を叩いた。
「何?巣山」
「何があったか知らねぇけど、水谷とちゃんと話せよ」

不意に、思いもかけない奴から水谷の名前を聞いて、俺はカッターのボタンを留めていた手を止めた。
「え?なに……が?」
水谷が巣山に何か言ったのか?としか、その時は思えなかった。
けど、俺の顔が強張ったのを巣山は見咎めたんだろう。眉間に小さな皺が寄ったのを見て、そうじゃないんだと思った俺は、もうひとつ水谷に謝る事が出来たって考えてた。
「俺は、お前と水谷が何か問題でも抱えてんのかなって勝手に思ってるだけだから、違ったら謝る。でも俺じゃ駄目らしいから、栄口から水谷に話を聞いてやってくれっと助かンだけど」

巣山って、ドライに見えてたんだけど、結構面倒見の良い奴なんだな……
そういや俺も、寝不足とか心配されてたっけ……ごめん巣山。心配かけて。
「うん、分かった。俺が聞いてみるよ」
ボタンを留めて着替え終わると、俺は自分の決意が鈍らないうちに、と思って早速先に着替え終わっていた水谷の所に向かった。
貧血、結構酷かったんだな。まだ顔色が悪い。

「水谷」
目を閉じて、何かを拒むみたいにじっとしている水谷は、俺の声が聞こえていないのか、返事を返してこなかった。
もしかして、まだ調子悪いのか?
「水谷ってば」
もし調子が悪くても、こんなところで寝入るのはまずいよ。
そう思って、俺は水谷の肩に手を掛けると、そのまま引き寄せた。
そしたら、まるで力の入っていなかった体ごと、水谷が振り向いた。
「大丈夫か?」
「ぅわあっ!」

俺の顔を見るなり、そんな声を上げて身を引いた水谷に一瞬ムカついたけど、自分がそれだけの事をしてしまったんだと分かってたから、咎めるようなことは言わなかった。
「どーした、水谷」
心配というより、状況の説明を求めるような花井の問い掛けに、俺と水谷に向かって視線が集中するのが分かった。
背中に突き刺さるそれに気付いたけど無視していると、水谷が一所懸命花井にごまかしを掛けてた。
何とも無い訳ないだろ?

……そんなに怯えるほど、俺は水谷をびびらせてたのかな……

「んで、ごめん栄口。何?」
いつもの笑顔を装った作り笑いで俺に向き直った水谷に、今、直接謝る事は難しいと思って、俺は一瞬思案した後、結局その場で謝る事はしなかった。
もっとちゃんと言わないと駄目だよな。
俺は何でもないと言い残すと、訝しげな水谷を残して自分の荷物の所に戻った。

さっきから立ち位置を変えていない巣山の目が、少し咎めるように向けられたけど、それを受け流して俺は鞄の中の携帯を取り出した。
早く、少しでも身軽になりたかった。
だから、水谷と話すのは早くしてしまいたかった。
俺の三橋への想いを水谷が知っているのなら、彼に謝った後、色んな事を聞いてもらいたかった。
練習の疲れもあるけど、少しも休まらない気持ちに疲れた。

扱い慣れた携帯を操作して、俺は短い文面のメールをしたためると、水谷に向けて送信した。
横の巣山は何をしているのか、って感じだったけど、俺の背中の向こうにいる水谷が携帯を取り出したのを見て納得したみたいだった。

「水谷に送ったのか」
「うん。ちょっと長くなりそうだし、ゆっくり話そうかと思って」
巣山の言葉に答えながら、俺は送信し終わって切り替わった携帯の画面を見つめた。
今の俺の、心からの言葉。

『ごめん水谷。この後話そう。』


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お待たせいたしました!(見捨てられていても文句は言えません……)いい加減暗いターンを脱出したいですが、まだもうちょっと続きます……申し訳ございません(平伏)